(2008.12.24)

薬害HIV感染被害者遺族のPTSDなどに対応するための研究会が設置されて、4年余りが経過し、このたび、「薬害HIV感染被害者遺族等のメンタルケアに関するマニュアル」が刊行されました。
本マニュアル作成のため検討委員会の委員長、金吉晴先生(国立精神・神経センター 精神保健研究所 成人精神保健部 部長)のコメントを紹介します。
なお、本マニュアルをご希望される方は、はばたき福祉事業団までご連絡ください。
薬害HIV感染被害は、感染者ご本人はいうまでもなく、そのご家族、また残されたご遺族にも大きな心の負担をもたらしてきた。
厚生労働省と東京・大阪HIV訴訟原告団は、被害者救済のための恒久対策についての定期的な協議を踏まえて、血液製剤によるエイズ患者遺族等のための相談事業を、平成9年度から国の補助金により実施するに至った。
さらに平成16年度からは、新たに「エイズ患者遺族等相談事業」の中に、遺族のPTSD等の健康被害対策に関する検討に係る補助金が計上された。
これに伴い、財団法人 友愛福祉財団の行う事業として、「HIV感染被害者遺族等に対する健康被害等の対応にかかる研究調査会」(以下「研究会」という)が、平成16年6月に設置された。
この研究会は、HIV感染被害者遺族等や医療・保健・福祉等の専門家により構成され、HIV感染被害者遺族等に生じている健康被害の把握とともに、当該健康被害への根本的な対応策等について研究することを目的としたものである。
研究会は、国立精神・神経センター精神保健研究所 成人精神保健部長の金吉晴を座長に、計12名の委員で構成され、平成16年6月から平成17年11月まで計8回の会合を開催して、逐次研究を行ってきた。
その成果を踏まえ、今後の遺族のケアのために執筆されたのが本マニュアルである。
作製に当たっては、研究会の専門委員だけでなく、東京、大阪の原告団委員にも参加していただいた。
世界的にみると、医療のガイドラインやマニュアルでは、当事者が作製に参加することがひとつの流れになりつつある。
日本ではまだ例の少ない試みであるが、原告団委員の執筆された頁は、専門家が書いたものとは違い、この問題が当事者にどのように受け止められ、取り組まれてきたのかをよく示している。
本マニュアルを通じて、単に知識や技術だけではなく、ご遺族たちによって薬害HIV被害がどのように体験され、何をもたらしてきたのかをくみ取っていただければ幸いである。
本書が様々な臨床と支援の現場で活用されることを期待しています。
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