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[はばたき血友病医療情報 『 血小板細胞を用いた遺伝子治療研究、血友病インヒビター患者に朗報 とNHF発信 』 ]

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  • 2014.1.21
 
 [ 血小板細胞を用いた遺伝子治療研究、血友病インヒビター患者に朗報 ]
 
   全米血友病財団(NHF) メデイカルニュース2014年1月号より
 
 出典: 2013年12月11日 
        ノースカロライナ・ノース大学チャペル・ヒル・ニュース
 
 
 ノース・カロライナ大学医学部(UNC)の研究者、ウイスコンシン大学医学部
 
の研究者は、血小板を用いて、血液凝固第VIII因子を中和化する免疫抗体反応
 
(インヒビター)を避けるために血小板を用いた遺伝子治療を開発しました。
 
 本研究は、血友病Aのイヌでヒト第VIII因子を用いた血小板を標的とした
 
遺伝子治療で、止血治療が確立、2013年11月号のネイチャー・コミュニケー
 
ション誌に掲載されています。
 
[Nat Commun. 2013;4:2773. doi: 10.1038/ncomms3773.
 Platelet-targeted gene therapy with human factor VIII establishes
  haemostasis in dogs with haemophilia A.]
 
 筆頭著者は、ウイスコンシン大学医学部のデイビッド・A・ウイルコックス
 
博士です。
 
 
 本研究は、米国衛生研究所、アメリカ心臓協会、米国遺伝子ベクター・バイ
 
オレポジトリー(訳注:レポジトリー:医学、生物研究のために資料を保存し
 
ておくこと)、小児病院財団、小児がんセンターに対しての中西部アスリート
 
(MACC)財団とジョ・B・ジュデイース・ガデット氏を通じて資金提供をうけ
 
ています。
 
 
 ウイルコックス氏と同僚らは、最初に標的とした血小板前駆細胞(骨髄細胞
 
が自己再生できない細胞)を血友病Aイヌ3頭から分離しました。その後、細
 
胞に改良をおこない、第VIII因子の産生を誘導する遺伝子産物を挿入しました。
 
遺伝子治療をイヌに実施し第VIII因子を産生する新たな血小板細胞を作製しま
 
した。
 
「血友病患者では、現在のところ唯一の治療法である血液凝固因子製剤の輸注
 
のみに限られています。第VIII因子タンパク質は発現後、すぐに分解されるた
 
め理想的には生涯にわたって産生しつづける治療が必要であると、共同研究者
 
であるテイム・ニコラス医学博士、UNCのフランシス・オーエン血液研究所所
 
長は述べています。
 
 血小板は第VIII因子を含む血液が漏れる出血部位に移動するため、遺伝子治
 
療をおこなったイヌは、凝固活性が上昇します。最初の遺伝子治療をおこなっ
 
てから2年半後経過後、研究者らは、3頭のイヌは第VIII因子産生能力があり、
 
3頭のイヌ全てで出血割合が低下したという報告をしています。
 
 治療前には、年間あたり重篤な出血が5回ありました。もっとも高い第VIII因
 
子産生能力をもつイヌでは、3年の研究期間で1回だけ重篤な出血があり、既存の
 
血液凝固因子治療で効率的に治療されました。
 
「血小板由来の第VIII因子に対するインヒビター抗体がないことは、第VIII因子
 
補充療法ができない患者にとって朗報となります。血小板由来の第VIII因子は、
 
血友病患者Aの長期間にわたって効率的に治療することができるかもしれませ
 
ん。」と著者らは結論付けています。
 
期待がもてる治療ですが、この種の研究がヒトで臨床可能となる前に追加研究
 
が必要となります。
 
 
※コメント
 インヒビター患者に対する治療法は、インヒビターにより阻害された第VIII
 
(IX)因子を迂回して止血をおこなう「バイパス療法」と、インヒビターを中
 
和するために大量の第VIII(IX)因子製剤を投与する「中和療法」とがありま
 
す。また、インヒビターをなくすことを目的とした「免疫寛容導入(Immune 
 
Tolerance Induction; ITI)療法」という治療法もあります。今回された報告
 
では、動物実験で血友病Aイヌを用いた研究をおこなっており、血小板が産生
 
する第VIII因子に対してインヒビター抗体がない特徴を利用したもので、イヌ
 
の動物実験に実施したところ止血に対して有効であるという結果が得られまし
 
た。本治療が成功に終わったことにより、将来、インヒビターをもつ血友病
 
患者に対しての第VIII因子を産生する遺伝子治療が期待されます。
 
                                                                                                              (E.M)

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