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◇はばたき血友病情報(研究・開発) 「長期HIV、HCV感染及び抗HIV薬多剤耐性を有する血友病患者に対するアイセントレス投与評価の研究報告から」

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  • 2011.8. 8

 

タイトル:抗HIV薬剤多剤耐性血友病患者のラルテグラビル商品名 アイセントレス MSD)の安全性と有効性
    「Safety and effectiveness of raltegravir in patients with haemophilia and anti-HIV multidrug resistance.」

著者:Mangiafico L, Perja M, Fusco F, Riva S, Mago D, Gringeri A.
   Department of Internal Medicine, Universita degli Studi di Milano and Fondazione IRCCS Ca Granda
   Ospedale Maggiore Policlinico, Milan, Italy.

出典:『Haemophilia. 2011 Jul 18. 1365-2516. [Epub ahead of print』

要旨 HIV陽性血友病者の高活性抗レトロウイルス療法(HAART)は、長期にわたるHIV感染、多剤耐性、併発
    肝疾患および出血の危険性を有するので、安全性と有効性に関して特異的な問題を提起している。
   ラルテグラビルはHIVインテグラ―ゼを阻害する新しい種類の薬剤であり、高い有効性と安全性プロファイ
    ルがあると知られている。
   本試験の目的は、ラルテグラビルを6カ月以上服用したHIV陽性血友病患者の後方視的研究を含む血友
    病者でラルテグラビルとHAARTの安全性と有効性を評価する。
   
   安全性基準は、いかなる副作用の症例、予期しない血液検査の異常および消費性凝固因子の増加であ
    る。有効性の基準は疾患の進行がないこと、ウイルス量HIV-RNA 40コピー未満/mlかつ CD3陽性CD4陽性
    細胞数は200細胞数超/mlが増加あるいは安定していることである。
   HCV重複感染している患者7名は、中央値20カ月間(最短―最長:7-30か月)ラルテグラビルを用いて治療
    をした。ラルテグラビル治療開始前、患者3名のCD3陽性CD4陽性細胞数は200細胞数未満/ml、ウイルス量
    中央値は7547コピー/mlであった。(最小―最大:37-40未満 807 *訳注:原文通り)治療期間中、疾患の
    進行のあらたな徴候はみられなかった。
   全患者がウイルス複製抑制(40コピー未満/ml)を示し、CD3陽性CD4陽性細胞数は中央値152細胞数/ml
  (最小―最大:40-525細胞数/ml)増加した。患者2名は末梢神経障害を発症し、ラルテグラビルに伴う可能性
    とみなされている。
  出血疾患の頻度、出血部位の変化および補充療法の感応欠如などが増悪した症例は認められていない。
   
   ラルテグラビルを組み合わせたHAARTは、血友病患者では有効であり一般に耐容性が良好であるように
    みえ、効果的な選択法になるだろう


※複数の抗HIV薬を併用する多剤併用療法(カクテル療法)「HAART」(highly antiretroviral therapy)
3種類の抗HIV薬(核酸系逆転写酵素阻害薬、非核酸系逆転写酵素阻害薬、プロテアーゼ阻害薬)を組み合わ
せて服用するのが一般的であり、この併用療法によってHIV感染症患者の死亡率は大きく減少しました。

 一方で、複数の薬剤に耐性を獲得したウイルスが出現やこのような抗HIV薬の様々な副作用や、肝薬物代
謝酵素チトクロームP450(CYP)を介した薬物間相互作用が問題となっており、また、HIV感染血友病患者で
みられるプロテアーゼ阻害剤による出血傾向は、作用機序がいまだはっきりしてはいません。

 ラルテグラビル(商品名 アイセントレス)は、HIVなどのレトロウイルスの複製に必要な「逆転写酵
素」「プロテアーゼ」「インテグラーゼ」の3種類の酵素のうちインテグラーゼを標的とした阻害剤であり、
既存薬に耐性を獲得したHIVに対しても効果を発揮します。
 この薬剤は、主にグルクロン酸抱合で代謝されるため、CYPを介する相互作用が起こりにくく副作用が比
較的少ないとされています。

 本論文の中で筆者らは、HIV/HCV重複感染血友病患者に対して、HAARTにラルテグラビルを併用したところ、
効果的にウイルス量HIV-RNA抑制およびCD4陽性細胞数増加などがみられました。
さらに血友病患者にとって最も気になる*1出血疾患の頻度、出血部位の変化および補充療法の感応欠如な
どが増悪した症例はみられませんでした。

 このような結果を踏まえますと、ラルテグラビルを組み合わせたHAARTは、HIV感染血友病患者にとって出
血疾患リスクの心配で煩わせることもなく、従来の抗HIV薬にみられた脂質代謝異常症などの副作用が少ない
という点から治療に有効な薬剤であると思われます。

( E.M)


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