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慢性疾患の子どもの自立のために

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  • 2012.2. 6

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はばたき福祉事業団では、慢性疾患の患児が社会の一員として自立するため、成育期において学校生活と療養を包括的に支援していくプログラムを開発することを目指して、平成21年度から研究を始めました。過去3年間の取り組みをまとめましたので、ご報告します。

 

疾患は違っても慢性疾患の子どもたちの共通の課題として『自立』があります。そこで、平成21年度成育医療研究のグランドデザインに関する分担研究において『慢性疾患の子どもたちの自立を目指した支援プログラムの開発に向けて』という題でワークショップを行いました。成育医療の理念や支援プログラムに関して、『患者支援』『教育』『福祉』『家庭』の視点から話合いをしました。
詳細はこちら

 

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ワークショップのパネリストの一人である、小児がん経験者であり小児がんネットワークMNプロジェクトの代表、社会福祉士でもある小俣智子氏に『小児がん経験者として~小児患者の心理的支援の必要性~』ということについてご講演いただきました。小児がんは7,8割治るようになってきている現在、慢性疾患として長期治療・療養による影響をマイナス面、プラス面による影響をあげながら、自立への課題(本人・支援者・社会全般)をお話しくださいました。
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課題の一つ本人の自立への課題として小俣さんは次のことをあげました。

疾病や症状などの自覚
家族や周囲との関係構築
疾病経験の整理
仲間との交流
必要な情報の収集と理解
これらに対応できるプラグラムはないか、そこでイギリスで開発・実施されている慢性疾患のこどものためのセルフマネジメントプログラム『Staying Positive:Self-Management Workshop』を調査しました。
詳細はこちら

 
 
 
『Staying Positive:Self-Management Workshop』とは
 
【プログラムの背景】
イギリスが国の取組として、2004年に政府の要請により12歳から18歳の子どもを対象にした『Staying Positive:Self-Management Workshop』が開発され、ワークショップの提供が始まりました。
もともと大人向け『慢性疾患セルフマネジメントプログラム』として評判になってアメリカのスタンフォード大学が開発した支援プログラムを応用して、新たに子ども版がKate Hawley博士により開発されました。   
大人版プログラムの詳細と評価はこちら


 

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【プログラムの方針】
プログラムは病気をもつ子どもへの聞取り調査に基づいています。
慢性の病気を抱えていることと同時に、常に普通の思春期の子どもとして直面する問題も取り上げています。
子どもの発達段階にあったものであることや子どもの関心のあることに重点を置き、医学モデルではなく社会・心理モデルを採用しています。


 
【プログラムの基本理念】
11ある理念のうちいくつかを紹介します    基本理念の11はこちら
・子どもが実際に抱える問題を対象にすること
・楽しみや遊びと真剣な演習の組合せとすること
・それぞれの演習に正解はなく、いいとか悪いとかいうのではなく、子どもの気持ちに触れるようにし、否定的と肯定的な両方の見方ができるようになること
・病気をもつことについての怒りの感情を子どもが表現できること
・ファシリテーターは参加者と同じくらいの年の人によること

 
【プログラムの目的】
自分のことを普通のティーンエイジャーでたまたま慢性の疾患をもっている人であるという見方ができるようになること
自分の病気の管理をする技術を学ぶこと
将来に向けて自立していくことができる
 

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【ワークショップについて】
・ワークショップは週末や休日の3日間にわけて行われます
・参加者は12歳~18歳で6人以上の参加者で行われます
・ファシリテーターは3人の子ども。大人の世話人はいますが、ワークショップには入りません
・ワークショップで参加者が守る秘密の保持、お互いを尊重するなどいくつかのきまりがあります
・ワークショップはマニュアルにそって、ファシリテーターが分担して行います
マニュアルの詳細はこちら


 
【プログラムの質の保証】
質の保証として、「ファシリテーター役割規定」と「ファシリテーターの研修」があります
役割規定ではファシリテーターの年齢や研修を受けるなどいくつかの条件があり、条件を満たすと認定保証を受けます。また大人の世話人の研修もあります。  詳細はこちら

 
【プログラムの運営】
大人版の慢性疾患セルフマネジメントプログラムの開発者であるスタンフォード大学患者教育研究センターのケイト・ロリッグ先生より、研究のライセンス(無料)を得て、子供のためのプログラムを開発しました。開発されたプログラムは大人版のプログラムと非常に異なるため、スタンフォード大学はこのプログラムに関して著作権は持たないという取り交わしができました。

 
【参加者の声】
プログラムに参加した9人の声を紹介します。
初めは一参加者だった少年は後にファシリテーターとして活躍していたり、いじめにあった少年は自ら転校を希望し、新しい学校でうまくいっていたりとプログラムに参加することで前向きに変わっている様子がわかります。  詳細はこちら

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