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≪ エイズ 30年 薬害エイズ被害者のHIV/HCV重複感染 『生きたい!』という被害者の願い、肝移植の専門家は応えるが、国の救済支援はどう応えるのか? ≫

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  • 2011.10.23

 ≪  『 生きたい、という被害者の熱望に、国や医療機関は応えているのか 』

  移植外科の専門家は、被害者を救うための認識は共有。あとは、国の救済決意!

 血液製剤によるHIV/HCV重複感染患者に対する肝移植のための組織構築 班会議から ≫


 薬害エイズ感染被害者救済の一環として平成21年に立ち上げたエイズ対策研究事業。

 長崎大学移植外科 兼松隆之教授を主任研究者として3年目の研究としている。

 今回、福岡で行われた。主要救済医療機関からのデータや、東大からの貴重な資料、

 海外情報をもとに、集まった、移植外科・消化器外科・消化器内科の専門家の先生

 たちは、薬害エイズによるHIV/HCV重複感染者の若年による肝硬変・肝がん発生や肝硬

 変となった肝臓そのものの異常さに、移植医療への緊急的な対応(特別基準等)をしなけ

 ればならないとの認識が示された。

 あとは、政策的な後押しがあればと国の救済決意に託された。


 兼松班立ち上げの経緯は、和解後、抗HIV薬のHAART療法が緊急的に導入され、HIV感染による

 日和見感染症での死亡が減少していく反面、被害者は同じく非加熱凝固因子製剤などか

 らHCVにも罹患しているため、HIV/HCV重複感染による肝疾患の悪化から肝硬変・肝がん

 が原因とする死亡者が70-80%を占めるようになった。特有なのは死亡者の年代が若く、
 
 20-30才代で肝硬変・肝がんで死亡することが後を絶たない。10数年前からHIV/HCV重複

 感染はHIVの介在でC型肝炎の悪化を早めると言われていて、その対処としてインター

 フェロンとリバビリンによる治療の早期導入に希望を託してはきたが、半数以上の人が

 効果に結びついていない。肝硬変の悪化で、とり得る手段がないとき、生体肝移植への

 トライがACCの立川夏雄医師の考えで始まった。しかし、すぐには具体化しなかった。

 それまでに、2人の被害患者が母親をドナーとして生体肝移植の待っていたが、病院の

 HIVに対する院内体制が整うまでという理由で延び延びになり、その間に、20歳代の若い

 命が絶たれた。

 薬害エイズ被害者の生体肝移植はピッツバーグ大学などでも試みられていて、2001年に

 東大・移植外科の幕内雅敏教授の理解のもと、本邦初めてのHIV/HCV・血友病患者の生体

 肝移植が実施された。

 薬害エイズ被害への理解・治したい・ 勇気と熱意がある医療者と、生きたいという患者とそれ

 を支える家族の熱い思いが結びついた時期だった。その後、ACCから立川医師が去り、東大

 も教授が変わり、被害者の移植医療について、希望者が3年も据え置かれてついにその手術

 から対象外となったりで最後の望みをつなぐ手段の大切な部分が腑抜けした。

 その間、希望者の実現を図れるよう国に要望し、ACCにも要望するも対応の実現に確たるもの

 が見えなかった。

 また、これまで、全国で東大が6例、京都大学で2例、広島大学で1例、熊本大学で1例と

 被害者の肝移植が行われていたが、その症例について被害救済に結びつく評価や発表も

 行われず、被害者のHIV/HCV重複感染で悪化した患者の救う大きな手段である救済組織的

 な共有もなされていない。まして国もそれを把握しているのか明確な対応はない。

 しかし、全国に散在する被害者が治療手段の一つとして肝移植が提示さずに手の施

 しようがないとあきらめの治療に逃れられては何のための救済を求めた裁判かというこ

 とになり、容認できないとして、大臣協議で取り上げ、生体肝移植実施例が200例以上

 経験がある長崎大学にお願いし、兼松班を作った。

 目的は、移植希望の被害者が出た場合、門戸がいつでも解放されて受け入れ態勢を整え

 ておく、また全国の被害者を診る医療者が、いざ移植医療を選択肢として患者・家族に

 提示でき、対応できる医療機関の組織構築を行うこと、被害者の移植にかかわる医療の

 サポートを万全とすることにある。

 本来、被害者の原状回復医療を本気で推し進める厚労省が頼んでお願いすることである。

 今回の班会議で、HCV感染者の肝硬変患者において、50歳以下で血小板数が10万以下で

 も死亡者はきわめて少ないことが示された。被害者の20-40歳代の死亡原因の70%以上が

 肝疾患という現状で、その差は異常でありあまりに大きい。

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