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◇はばたき血友病情報(医療情報)「HIV薬剤とHCV薬剤の相互作用の警告 メルク社から」

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  • 2012.3.30

タイトル:[ HIV薬剤とHCV薬剤の相互作用の警告、メルク社から]

先月、メルク社はアメリカの医師らにC型肝炎ウイルス(HCV)治療用の
プロテアーゼ阻害剤薬「VictrelisTM(boceprevir)」とある抗HIV
ウイルス剤の間に相互作用を評価する薬物動態学的研究の結果を伝えた。

2011年5月、2つのPI(プロテアーゼ阻害剤)メルク社の「Victerlis」
とVertex製薬会社の「telaprevir(incivekTM)」がFDA(米国食品医薬局)
によって、HCV遺伝子I型を罹患している患者用に認可された。
これらの薬剤は、標準的なインターフェロンとリバビリンの治療の有効
性を増強させる。

メルクプレスリリースによると、と抗HIV薬の「アタザナビル(レイア
タッツR)」や「ダルナビル(プリジスタR)」、あるいは「ロピナビル
/リトナビル(カレトラR)」を併用して「Victerlis」と抗レトロウイル
ス剤「リトナビル(ノービナR)」を投与すると、血液中の薬剤濃度が減
弱していた。
メルク社は、「Victerlis」が認可中かすでに認可されている国の監督
機関はこの相互減弱作用のデータを共有している。今や、これらのデー
タを精査し表示の改訂を考慮することになる。

2011年12月、メリーランドの医師グループが、重複感染している患者に
おけるPI(プロテアーゼ阻害剤)服用のための暫定的な治療ガイドライ
ンをJournal of Clinical Infectious Diseaseに発表した。
新しいPI(プロテアーゼ阻害剤)は重複感染患者における服用は認めら
れていない。中間試験では、PIとペグ・インターフェロン/リバビリンと
を併用した時、このような患者はSVR(持続性ウイルス陰性化)になった。
有害事象はHCVのみ感染している患者と違いはなかった。

医師らは重複感染患者におけるこれらの薬剤の明らかな適応外使用に関
心がある。
HIVとHCVを重複感染している患者の肝疾患はより進行しており、インタ
ーフェロン/リバビリンは効果が彼らにとっては有効ではない。肝移植は
高い成功率ではなく、いわんや広く利用可能なものではない。

「VicterlisTM」 は、HIVも感染している患者では、慢性HCV感染者の
治療用に示されていない。

「リトナビル」でブーストしたHIVプロテアーゼインヒビターを服用して
いる患者のために医師の中には「VicterlisTM」 を処方するか、処方
を考慮している可能性がある医師もいる。
「我々は、患者の安全性と透明性に対してコミットメントの一部として
これらのデータを共有することは重要であると感じている。一番重要な
ことは、慢性HCVあるいはHIV、両方のための薬剤を服用している全ての
患者を考えておくことである。最初に医師の相談なしに服用レジメンを
中断してしてはいけない。」
とメルク感染症臨床研究所の所長であるロビン・アイザック氏は述べて
いる。

コメント 薬事日報2011年11月21日(木)ウェブニュースから
◆C型慢性肝炎に待望の新薬が登場した。田辺三菱製薬が11月に発売し
たNS3‐4Aプロテアーゼ阻害剤「テラビック」(一般名:telaprevir
テラプレビル)だ。従来のペグインターフェロンα‐2bと抗ウイルス剤
「リバビリン」に、同剤を加えた3剤併用療法が可能になる。
◆3剤併用療法は、ペグインターフェロンαとリバビリンの併用療法に比
べ、ジェノタイプ1のC型肝炎患者に対して、治療効果の改善と治療期間
の短縮をもたらす。無効例や再燃例にも効果が期待されている。
◆虎の門病院の熊田博光医師によると、3剤併用療法はヒト側の遺伝子で
あるIL28BがTTだと90%以上の確率で治療でき、TG/GGであって
もウイルス側の遺伝子「コア70」に変異がなければ、治療効果は高いとさ
れているす。C型肝炎治療の個別化医療に道を開く結果だ。
◆ただし、3剤併用療法の副作用発現率は100%。田辺三菱では同剤を
「安全性対応最重視製品」と位置づけ、全例調査で安全性情報を収集し、
医療現場に情報提供していく方針だ。確実な適正使用を求めたい。

この田辺三菱製薬が販売している「テラプレビル」は、アメリカの
バーテックス社とジョンソン&ジョンソン社が共同で開発したものです。
このほかにC型肝炎ウイルス治療薬のプロテアーゼ阻害剤にはメルク社か
ら開発された「Victrelis(boceprevir)」があります。
今回のNHF(アメリカ血友病連盟)の医学ニュースで取り上げた薬剤は
こちらの「Victrelis(boceprevir)」の方です。
メルク社の薬剤に関する添付書をみると、この薬剤はHCVのNS3/4Aのプロ
テアーゼを標的にしており、インターフェロン+リバビリンに効きにくい
HCVジェノタイプIの患者や以前に前述の2剤療法で効果がみられなかった
患者にも有効性があります。
この薬剤と抗HIV治療薬を併用する結果は、日本ではまだ分かっていません。

HIVとHCVを重複感染している患者は、抗HIV治療がある程度確立しており
HIVはコントロール出来るようになりつつあります。そのため、一番必要
なのはHCVに対する治療であります。
特にHIVとHCV重複感染している患者は肝疾患が増悪しやすいことからも
一刻もはやいHCVに対する治療薬が望まれるところです。

今回のメルクのプレスリリースをみると、健常ボランティアを使った試験
では、(今回の上記の本文には、健常ボランティアを対象に試験を行った
とは記載されていません。) HIVおよびHCVのプロテアーゼ阻害剤は、細
胞内での作用機序が類似していることから抗HIV療法および抗HCV療法を
お互いに相殺しあうため、その結果、両方の薬剤の血中濃度が減弱してし
まったと報告されています。

ですが、2012年3月6日ロイター電子版のニュースによると良好なニュース
がでてきました。
http://www.reuters.com/article/2012/03/06/us-hepatitis-hiv-idJSTRE8251K520120306)、メルク社は臨床第II相の試験で、インターフェロ
ン+リバビリン併用の場合、治療開始12週後、HIV/HCVを重複感染患者のHCV
がSVR(ウイルス陰性化)26.5%であるのに対して、Victrelis(boceprevir)
を加えた3剤併用療法ではSVRが60.7%に顕著に改善したと報告しています。
「これは小規模の治験とはいえ、大きな前進だと第III相の試験では、さら
に大規模な試験や様々なHIV感染者に適応することが肝要である。」とバル
ティモアにあるジョンホプキンス大学医学部のMark Sulkowski博士は述べ
ています。

(E.M)

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